
社会人になって研修や勉強をするとすぐ忘れてしまっていませんか?
小学校、中学校、高校、大学までは必ず同じ時間に同じ内容を勉強することで、自動的に「学習」「復習」が出来ます。
しかしながら、社会人になると資格の勉強以外は定期的に勉強することはなくなりますよね。ですので、まずは学習の最大のコツである「エドガーデールの学習法則」「エピングハウスの忘却曲線」を知って頂き、学びを最大限活かしていくことでより効率的に覚えることが出来ます。
この記事では「人に教えること」と「復習」の大事さと、どうやって行えばよいかの解決策を提示します。
エドガーデールの法則とは?

- 読む…10%
- 聞く…20%
- 見る…30%
- 見ながら聞く…40%
- 書く、話す…70%
- 教える…90%
どのような学習行為を行うかによって学習の定着度合いが変化することを表しています。
聞く・読む・見るといった単一的な学習方法ではあまり定着せず、見ながら聞いてようやく40%になります。
社会人によくありがちなのはこの単一的な学習方法です。
しかしながら自ら言葉にしたり、書いたり、教えたりする行為はなんと70%~90%も定着すると言われています。
これは学生時代に経験されたことありますよね。受験でも大いに使われております。教えるという行為は、学習方法では一番の効率が良い方法です。ただこれが社会人になると途端にやらなくなってしまいます。
筆者の場合は、マーケティングの本を読んで実践、読んで実践を繰り返して覚えましたが、読んだだけのものはあまり定着していません。周りの方に聞いてもマーケティングの本は読んだけど、忘れたという方は多かったです。
エドガーデールの法則は嘘?「ピラミッドモデルというゾンビ」の論文とは?
ピラミッドモデルというのはエドガーデールの学習法則のことですが、ゾンビとはどういうことなのでしょうか。
このエドガーデールの学習法則において、数値による根拠がないものとして、米国大学・研究図書館協会(ACRL)のブログACRLogに、”Tales of the Undead…Learning Theories: The Learning Pyramid”と題した記事が掲載されています。
もともとはデールは数値を含めず学習モデルとして、提示されていたものが、後に数値が付け加えられて今の形になっているようです。
ただこれが、根拠のないものとして各所で言われるものの、教育者自身が広めていくことで、学習理論として定着しているから、ゾンビと呼ばれています。
学習の法則としての科学的根拠はないものの、こうして語り継がれるのですから、教育者が便利で使っているのではなく、一定の効果が得られるものとして使われているのでしょう。
法則は手段であって、目的ではないため、学習方法が合わないのであれば、変えていけばよいと思います。法則の根拠が危ぶまれているからと言って、能動的な勉強方法を否定するものではないですね。
私は社会人こそ”アクティブラーニング”や”教える”という行為が大事だと考えています。
人に教えられるようになるには?

社会人になってまず初めに覚えておきたいことは、私は「言語化」だと思っております。
ここで言う言語化とは、教えられたもしくは学んだことを「自分の言葉で言い換える作業」のことです。
- 仕事内容を言語化する
- 課題を言語化する
- 改善点を言語化する
色々ありますが、この「仕事内容を言語化」するのが結構難しかったりします。
自分の仕事を簡潔に説明してみましょう!
具体的には、わたしの会社は「○○で事業をしており」、私はその事業の中の「〇〇の部分」の「○○の役割」として○○しております。
こういうことをすんなりと言える1年目はなかなかいませんよね。
またこの本来シンプルな図式が業務が増えることによって、作業内容は複雑化していますね。したがって任された仕事が仮に曖昧な場合にもこの言語化は指示を出す側、受ける側にもとても重要だと思います。
これが出来れば、次の課題の言語化や改善点の言語化などがスムーズに出来るようになると思います。
先輩になれば、ティーチング・コーチングでも言語化が重要になるため、教える機会も増えていきます。
その際しっかり言語化をし、覚えた内容を自分の言葉で説明できるようになりましょう!
そしてこの言語化を定着させるためにこの「エドガーデールの法則」を使って、学んだことをアプトプットする習慣を身に着けて頂きたいと思います。
つぎに、エドガーデールの法則と合わせて用いられるのが、エピングハウスの忘却曲線です。
エピングハウスの忘却曲線

この法則は、心理学者であったヘルマン・エピングハウスの実験のもと、著書に書かれています。
1880年から1885年にかけて、エビングハウスは、自ら「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節(rit, pek, tas, ...etc)を記憶し、時間が経過した後、再度記憶するのにかかった時間と最初に覚えた時間でどれくらい時間が節約されたかを調べた結果を出しています。
ある無意味な音節を記憶するのに10分かかりました。
その後20分経過した後、再度先ほど覚えた同じ音節を記憶するのに、4,2分かかりました。
58%節約(1分×58%)5,8分節約されました。
これを各時間経過した後、何分かかったかで節約率として出しています。

20分後…58%(20分後に再度記憶した場合、58%の時間節約された)
1時間後…44%(1時間後に再度記憶した場合、44%の時間節約された)
1日後…26%(1日後に再度記憶した場合、26%の時間節約された)
1週間…23%(1週間後に再度記憶した場合、23%の時間節約された)
1ヶ月後…21%(1ヵ月後に再度記憶した場合、21%の時間節約された)
よくある勘違い・間違いとしては、節約率を「忘れる」として表記している点です。
厳密には再記憶するのに節約された時間ですから、少し意味合いは異なります。
記憶の定着は早いほど時間が短く、その後緩やかではありますが、定着には時間を要するということです。
しかしながらこれを復習することで、記憶の定着への時間を100%に近づけていけるという理論につながっているので、忘れるとしたとしても、あまり大きな違いはないです。
また普段使われる場合によく勘違いされる点として
この実験では、無意味な音節なので、実際には節約率はもう少し高くなります。
どうでしょうか?1回だけでは、記憶の定着がいかに低く、忘れやすいかが分かると思います。
社会人は忘れやすい生き物である
皆さんも経験があると思いますが、
「復習」を重ねることで記憶を定着させましょうと、学校や学習塾では教わることが多いと思います。
学校でも予習→学習→復習と繰り返していたかと思います。
しかしながら社会人になるとどうでしょうか?研修期間は長くて2日、1日のところも多いです。
研修をやって充実した勉強時間を取ったとしても、1時間後には半分以下に翌日には3割以下に覚えた内容は薄れていきます。
研修を短期間で終えてしまうと、時間だけ取られてしまい、十分な効果が出ないことが大いにあり得ます。
研修を受けられた皆さんは特に感じていることだと思います。
ぜひ人事・研修のご担当者であったり、OJT・マネジメントでティーチングされる方はいかに記憶が定着しにくいかを覚えておいてください。
エドガーデールの法則と組み合わせて考えてみましょう!
先ほどのエドガーデールの法則と照らし合わせると、いかに読書や映画などの記憶の定着が薄いことのが見て取れると思います。
これが勉強となればなおさら定着しづらいと思います。
学んだことは最低でも1週間単位で誰かに喋りましょう!「書く」、「話す」、「教える」です。
そして定期的な反復(復習)を行いましょう!
ビジネス書を読んで、テンションが上がって、「さぁやるぞー」では1週間と持ちません。
具体的には、
- 学んだ内容は翌日から仕事に活かす。
- 学んだ内容を忘れないように複数回に分けて覚える。
- 週報があれば書くようにする。
マネジメントを経験される方は、
- 研修で学んだ内容のフィードバックを受ける。
- 研修後に受けた内容を発表する場を設ける。
- 部下に教えた内容であれば、部下が教える側に立ち、理解度をチェックする。
- 週報に勉強した内容を報告してもらう。
以上のことをしてみてはいかがでしょうか?
このエピングハウスの忘却曲線も合わせて、覚えておくと学習方法にはうってつけの方法が、「書く」「話す」「教える」「反復」ということが実感頂けると思います。
まとめ
- 覚えたいことは能動的に行動しましょう!(※能動的=書く、話す、教える)
- 研修やビジネス書を読んだ後は必ず「書く」「話す」「教える」ことをしましょう!
- 教えるには自分の言葉で言い換える練習をしましょう!
- 記憶を定着させるために反復練習をしましょう!
学習においては、習得に対しての時間の法則として10000時間の法則というのがあります。
皆さんもこの記事の内容を忘れないように、なるべく人に話して、教えていきましょう!