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ABC分析とは?売上アップと在庫管理に最適な方法を徹底解説 

分析

社会人であれば覚えておきたい分析手法として、今回はABC分析を紹介させて頂きます。

売上管理手法として有名なABC分析ですが、皆さんはどこまで使っているでしょうか?

ABC分析をよく使う場面

  • 売上分析をすることで、効果的な販売促進策を狙いたい
  • 在庫分析をすることで、適正在庫管理を行い、処分費用を抑えたい

大きく分けてこの二つによく用いられます。

なぜABC分析が必要なのか?

これは商品において全てに労力(販促費)をかけることが出来ないからです。

また単品の金額だけでは見えてこない、商品ごとのつながりであったり、売り場の特徴を把握することが、売上アップであったり、在庫管理には必須となるのです。

メーカーや販売店ではかならず売れ筋というものが存在します。売上アップに関しては下記のようなアクションを起こす必要があります。

・売れ筋を見やすいところ(ゴールデンゾーン)に展開し、販促費を投下し売上を挙げる。

・売れ筋にプロモーション費用を使用して、消費者接点を上げる。

ではこの売れ筋の定義はどこか?というときにABC分析を使用します。

ABC分析手法のやり方、手順

まず商品ごとの売上金額(利益金額)をリスト化し、降順に並び替えます。

下記は筆者が分かりやすくするために、仮で作成したものになります。

商品A~H売上明細
筆者作成売上明細
  • A(売上貢献が高い商品=売れ筋)=売上の7割までのカテゴリー・商品群
  • B(売上貢献が低い商品=見せ筋)=売上の9割までのカテゴリー・商品群
  • C(売上貢献できていない商品=死に筋)=売上の1割までのカテゴリー・商品群

こう分けることで、A・B・Cと分けることが出来ます。

ABC分析手順
筆者作成ABC分析手順

こう分けるとパレートの法則同様、売れ筋商品数は全商品の2割であることが多いです。

この例では3商品で約80%取っていることになりますが、実際におおよその数字で出てくるかともいます。

より商品数が多い場合は、商品群の中から、さらに同じ属性管理を行います。Aの中で、おなじ属性やカテゴリーを用いて、どこに注力すべきかを判断します。

上の表では2商品としていますが、例えばカテゴリー別の売上明細を作成した場合は、カテゴリーBとAで売れ筋カテゴリーとなるため、

そちらを注力すべきですね。

しかしながら私が売上数にも注目すべきだと捉えています。

ABC分析手順②
筆者作成ABC分析数量降順

こうしてみると、先ほど死に筋となっていた商品Cや一見売れ筋であった商品Bなどにも特徴が出てきます。

例えば商品の売り上げ貢献の低い商品Cも十分にお客様の需要がある商品と言えます。これをそのまま死に筋としておいておくのは勿体ないことです。

ですので、この商品Cを詳しく商品分析・顧客分析を行うことで、他の商品との類似性を探り、購買者心理を読む必要があると言えます。

商品Aに関しては1万円の高単価で見せ筋には入りますが、売上数量としては厳しい部類に入ります。

この商品をそのままリピート運用すると、在庫過多になる可能性も出てきますね。

このように、分析で出てきた売上に影響の高い商品群に対し、例えば、下記の項目をチェックします。

  • 売り場の品揃えチェック・欠品チェック
  • 売り場メンテナンス・ゴールデンゾーンでの展開、販促物チェック
  • 販促費の内訳チェック

ここで余分なコスト(営業にかける時間や販促コスト)を見直し、より効果の上がりやすいカテゴリーへ注力していくことが、課題達成の成功への近道となります。

ABC分析は在庫運用にも活用されている

在庫、倉庫

在庫で使用する場合も同様ですが、適正在庫管理ではかなり使用頻度が高いと思います。

在庫は資産であるため、企業では資産を適正に計上しないといけません。

適正にするためには過剰在庫を生み出さない運用が求められます。

そのために、売れ筋、見せ筋、死に筋での適正在庫を捉えるために、需要予測をしながら、発注のタイミングを決定しなければならないのです。

しかし、都度出荷の発生する在庫を毎日管理するのは大変効率が悪いので、ABC分析を用いて、売れ筋を管理します。

その後、発注ターム(期間)の調整や、発注数の調整を行い在庫の適正化をすることが求められます。

ABC分析手法では出来ない場合

しかしながら売上差の付きにくい、通年売れている商品のみにしてしまうと、2割の商品数で7割の売上のようにならないこともあります。

特に通年売れている商品、定番商品を扱う場合はデシル分析などを使い売上順位から10等分して考える手法も使えます。

デシル分析とは顧客分析にも使われる手法ですが、ここでも売上金額を降順にします。

その後、10等分に分けます。ABC分析は7割、2割、1割と分けていたものを機械的に1~10まで割り振ります。

すると、ABCでは出てこない特徴が見えてきます。

・ABC分析は売上上位の商品を見極めるときに、デシル分析は売上上位の属性の共通項を見るときに使うと良いでしょう。

あくまで数値に基づいたカテゴライズをすることで、売上分析を行い、売上貢献アイテムの策定や戦略商品の策定をするときに使用しますので、臨機応援に使用することをおすすめします。

ABC分析を実際に使用してみると

  • 売り場への指示が立てやすい
  • 貢献アイテムの見える化により、売れ筋をしっかり見極めることが出来る
  • 適正在庫発注スキームが立てやすい(定期的なチェック項目の作成など)

色々現場での手法に使えますので、皆様これを機にABC分析マスターとなり、策略のなかで自分なりの分析手法を開拓していきましょう!

ABC分析をする上での注意点

ハンマーを持っていると全てが釘に見えてしまう、ハンマー、釘

どのような分析手法にも言えることですが、学んだことをそのまますべてのことに引用してしまう戒めとして、

「ハンマーを持っていると全てが釘に見えてしまう。」ということわざがあります。

英語のことわざから来ていますが、英語では

If all you have is a hammer, Everything looks like a nail

と言います。

これは限られた手段しか持たない、あるいは、固定概念・先入観、過去の成功体験から限られた手段に固執することで、課題の本質を正しく捉えることが出来なくなるという戒めの諺です。

この諺は、アメリカの心理学者、アブラハム・ハロルド・マズロー (Abraham Harold Maslow) 氏の 1962年の著書 「The Psychology of Science (洋書)」 の1節が基となっているらしいです。あのマズローの5段階欲求説で有名なマズロー氏です。

まとめ

  • ABC分析をする前の目的を洗い出そう
  • 目的を達成するためのABC分析になっているか
  • 目的・課題は必要なものになっているか

ただ分析をするのではなく、課題・目的の達成のために分析をしないと、結論ありきの分析になってしまいます。

その上で、非常に参考になるビジネス書を紹介します。

コンサルタントの方が書かれた著書ですが、まさに手法だけを知っていると陥りやすい課題解決方法に警鐘を鳴らす一冊です。

これから分析を始める方はぜひとも一読しておいて損はないと思います。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。ぜひとも分析を役立てて、仕事のモチベーションを挙げていきましょう!

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